水処理とは何か?

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水処理とは何か?基本的な仕組みについて

水処理とは、目的に合わせて水の質を改善し、有害物質や不純物を除去・低減することで安全に利用したり環境へ放流したりできるようにする一連の作業を指します。河川水や地下水を飲料水として利用可能にする処理、工場などの産業排水を適切な形にして自然に戻す処理など、さまざまな場面で水処理は不可欠な役割を担っています。

私たちがふだん何気なく使っている水道水も、水処理なしには安全とは言えません。たとえば河川や湖沼から取水した水は、微生物や泥、溶解した有害物質などが含まれている可能性があります。これらを浄化して人の健康に害がないレベルまできれいにすることで、はじめて飲み水として利用できるようになります。

また、工場などで使用された排水は、有機物や油分、重金属、化学薬品などを含むケースが多く、このまま自然界に放出すれば環境汚染の原因となります。そのため法律や地域条例に定められた基準を満たすよう排水処理が行われ、河川や海へ放流されています。水は循環する資源であるため、使った水をきれいに浄化して再び自然に戻し、必要に応じて再利用することが重要です。


水処理の種類(主な方法)

水処理は、大きく分けて物理的処理、化学的処理、生物学的処理、そして膜処理の4種類に分類できます。実際の現場では、これらを組み合わせて多段階の処理を行うケースが多いです。

1. 物理的処理

物理的処理とは、水に含まれる汚れやゴミを物理的な力によって分離・除去する方法です。代表例として、下記のような手法があります。

  • 沈殿・浮上:水をゆっくり静置して、比重の重いものは沈殿させ、比重の軽い油分などは浮上させて除去します。
  • ろ過:砂や活性炭などのろ材、あるいはフィルターを通して、固形物を取り除きます。活性炭ろ過では臭気や色素なども吸着除去できます。
  • 遠心分離:遠心力を利用して固形物と水を分ける方法で、産業排水などで利用されます。

物理的処理は薬剤を使わないため比較的シンプルで、初期費用やランニングコストを抑えられる利点があります。ただし、溶解している成分や微細な汚染物質までは十分に除去できないという限界があるため、他の処理と組み合わせることが多いです。

2. 化学的処理

化学的処理は、薬剤を用いて水中の汚染物質を化学反応で除去・無害化する方法です。主な手法は以下の通りです。

  • 凝集沈殿:凝集剤を加えて微細な粒子同士をくっつけ、大きな塊(フロック)にして沈殿・ろ過しやすくします。
  • 中和処理:酸性またはアルカリ性の薬剤を投入してpHを調整し、有害な物質を沈殿させたり無害化します。
  • 酸化・消毒:塩素やオゾンなどを使い、有機物や細菌、ウイルスなどを分解または死滅させます。
  • 吸着:活性炭などの高い吸着能力をもつ物質で溶解成分を除去します。

化学的処理では、一部の有害物質を短時間で効率よく除去できる一方、薬品コストや副生成物、装置の腐食対策などを考慮する必要があります。また、薬剤の投入量を誤ると処理効果が低下したり、逆に薬剤残留の問題が発生する恐れもあります。

3. 生物学的処理

生物学的処理は、水中の有機物や窒素などを微生物の働きによって分解・除去する方法です。下水処理場の活性汚泥法や生物膜法、嫌気性処理などが代表的で、微生物が有機汚濁物質を栄養源とする性質を利用しています。

  • 活性汚泥法:曝気槽で微生物(活性汚泥)を混ぜ、空気を吹き込みながら汚水中の有機物を分解し、後段の沈殿槽で汚泥を分離します。
  • 生物膜法:ろ材表面に生物膜を形成し、通水するときに微生物が汚染物質を取り込み分解します。
  • 嫌気性処理:酸素の無い環境下で特殊な微生物を使い、有機物をメタンなどに分解する手法です。

生物処理は大幅に有機物や窒素・リンを除去でき、エネルギー消費が比較的少ない点がメリットです。ただし温度や負荷変動に弱く、重金属など無機成分を除去できないなどの制約があります。また微生物の状態管理に手間がかかる点も特徴です。

4. 膜処理

膜処理は、微細な孔をもつ膜フィルターに水を通し、不純物を物理的に分離する手法です。孔径の大きさによって精密ろ過(MF)、限外ろ過(UF)、ナノろ過(NF)、逆浸透(RO)などに分類され、RO膜を用いれば溶解したイオンや塩類まで高い精度で除去できます。

膜処理は、高度な浄化水や超純水が必要な場合、海水淡水化などに用いられています。一方で、膜の目詰まり(ファウリング)や交換コストなどの課題があるため、前処理で大まかな汚れを除去してから膜処理に回すことが多いです。


水処理の用途と目的

飲料水・生活用水の浄化

私たちが日常的に使う水道水は、河川や湖沼、地下水などから取水し、沈殿・ろ過・消毒などを経て安全な飲料水に仕上げられています。水道法で定められた水質基準に合格するよう、複数の処理プロセスを組み合わせるのが一般的です。これにより、細菌や有害化学物質が取り除かれ、安心して飲用や生活用途に使える清潔な水が供給されています。

産業用水・工業用水の処理

工場や発電所など、産業活動では多量の水が必要です。一般に「工業用水」は上水道ほどの高度処理を受けていないケースが多く、河川水や井戸水を簡易処理した状態で工場へ供給されています。一方、ボイラーや食品・電子部品の製造など高い水質を求める場合、ろ過やイオン交換、逆浸透膜(RO膜)などでさらに不純物を除去した純水を利用します。

また、使った水(排水)を再処理して再利用する工場も増えています。たとえば冷却水や洗浄水を一度使って排水したあと、生物処理や膜処理で浄化し、再び工場内で循環利用することで水資源の節約と環境負荷の低減を図る手法です。

環境保全のための排水処理

工場や家庭から排出される汚水や下水を適切に処理し、法令に定められた基準を満たして河川や海に放流することも重要な水処理の役割です。特に下水処理場では、物理・化学・生物処理を組み合わせて汚水中の有機物や病原菌、窒素・リンなどを大幅に減らし、公共用水域を汚染しないよう管理しています。重金属や特殊な化学物質を多く含む排水の場合は、イオン交換や凝集沈殿、膜ろ過などの方法を併用して有害成分を除去します。

適切な排水処理を行わないと、富栄養化や赤潮、魚類への毒性影響など深刻な環境問題を引き起こすことになります。環境保全を目的とする水処理は、自然生態系を守るだけでなく、私たち自身の生活環境や衛生上の安全にも密接に関わっています。


水処理設備の選び方とメンテナンス

水処理設備を導入する際には、原水や排水の性状(どんな汚染物質が多いか、どの程度の水量か、目標水質は何か)を把握し、それに合った処理方式を組み合わせることが大切です。たとえば重金属が多い排水なら化学的処理や膜処理が中心になり、油分や有機物が多い場合は沈殿や浮上分離、生物処理を優先するなどの設計が行われます。

さらに、処理装置の設置スペース、初期費用やランニングコスト、運転管理の難易度なども検討材料です。小規模なシステムであれば比較的安価に導入できる反面、一度に大量の水を処理する場合は大規模な設備や高い運転技術が必要となります。また、薬品の取り扱いが必要なシステムか、排出される汚泥や副生成物をどう処理するかも含めて総合的に選定します。

水処理設備が稼働を始めた後は、定期的なメンテナンスや水質分析によって、安定した運用を維持しなくてはなりません。ポンプやブロワーなどの機械設備の点検・交換、膜ろ過システムの洗浄や膜交換、凝集剤など薬品の保管管理、微生物処理では汚泥の引き抜きや活性管理といった作業が必要です。こうしたメンテナンスを怠ると、処理能力の低下やトラブル発生で深刻な影響を及ぼす可能性があります。水処理は止められない設備であるからこそ、計画的な保守・点検が欠かせません。


水処理方法のメリット・デメリット比較

処理方法メリットデメリット
物理的処理
(ろ過、沈殿など)
・構造が比較的シンプル
・薬品コストがかからない
・大きな固形物や浮遊物を除去しやすい
・除去できる汚染物質が限定的
・沈殿槽やろ過施設など広いスペースが必要になる場合がある
化学的処理
(凝集、中和、酸化など)
・特定の物質を効率よく除去
・大量処理に向いている
・溶解成分や微生物の殺菌など多様な応用が可能
・薬品の扱いとコストが必要
・副生成物や汚泥が発生
・薬剤残留の管理が課題
生物学的処理
(活性汚泥、生物膜など)
・有機物や窒素、リンを大幅に除去
・薬剤の使用が少なく経済的
・自然の浄化作用を活かせる
・微生物の活性が温度や水質変動に左右される
・重金属など無機物は除去できない
・維持管理に専門知識が必要
膜処理
(MF、UF、ROなど)
・微細な粒子や溶解成分まで高精度で除去
・連続運転がしやすく、自動制御しやすい
・海水淡水化や超純水製造に不可欠
・膜の目詰まり防止策や交換コストが必要
・大規模処理では高いエネルギーが必要
・導入費用が比較的高め

まとめ

水処理は、水を利用するあらゆる場面で欠かせない基盤技術です。河川や地下水などから飲料水を作り出す浄水処理、工場や下水から出る排水を基準内に浄化して環境へ戻す処理、さらには再利用による資源循環など、その用途は多岐にわたります。水処理の方法には物理的処理・化学的処理・生物学的処理・膜処理などがあり、実際にはこれらを組み合わせて多段階の浄化を行い、目的とする水質を達成しているのが一般的です。

処理対象の水質や必要な処理量、コストや設置スペース、維持管理体制などを総合的に検討して、水処理設備を適切に選定することが求められます。また、導入後は定期的なメンテナンスによって安定運転を維持しなければならず、メンテナンスや水質監視を怠ると処理性能が低下してトラブルや環境への悪影響を引き起こす可能性もあります。

今後も水資源の有効活用や環境保全の観点から、水処理技術はさらに発展していくでしょう。限りある水を大切に使い、浄化して再び自然へ返す。このサイクルを支える水処理こそが、私たちの暮らしと地球環境を守る大切な柱となっています。

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